まどろみ

湖に行く。湖がどこにあるかは知らないが、私は免許もないのに車を走らせる。思うままにハンドルを切り、アクセルを踏み、走り続ける。徐々に、走る道が、舗装された道路からでこぼこした石だらけのものへと変わっていく。気づけば幾本もの木々が周囲を囲んでいる。木々のあいだにちらっちらっと光るものがあって、目を細めて凝らして見れば、光は断続的に瞬いていた。ちょうど、私がハンドルを切る瞬間と、そのタイミングは重なっている。不思議に思いながら次のカーブを曲がると、目の前に大きな海が広がった。

ただ、それは海ではない。大きな大きな湖であるのだった。私はほーっと息をつきながら、その大きさに圧倒されている。あまりにも驚いたのでその他の動作が疎かになり、次のカーブでハンドルを切り忘れた。がちゃんと音を立て、車はガードレールに衝突する。その勢いで車体はぐらついて、鍵をかけ忘れていた座席のドアがぱっかり開く。私はされるがままに、空中に放り出される。うわっと情けない声を出して、宙に浮き、そのまま重力に引っ張られて地球におっこちていく。

空はびっくりするほど青く、すぐ近くにあった。よく晴れていた。太陽がぎらぎらと湖面を煌めかせている。私はそれを死にかけながらぼんやりと見ている。湖に来た。そう思う。

…と、いうのが今日見た夢です。なんだか最近あまり深い眠りというのが出来なくて、毎日のように夢を見ている。タイマーでセットした扇風機が切れる機械音さえ、寝ながら拾っているのだから相当浅い眠りなのだろうと思う。夢はこれだけじゃなくて、好きだった人と学校に通っていたりだとか、死んだ憧れの人に会えていたりだとか、いろんなものを見ている。そのたびに一つの冒険をしてきたような気分で目覚める。だから疲れが全くとれていない。まあ、楽しいからいいのだけれど。

明日のことを考える。明日はもう金曜日なので、少し贅沢してもいいような気がするな。お昼は好きなパン屋さんにいこうかな。今日の夜は友達が栃木のお土産にくれたチョコレートケーキをひときれ食べよう。久しぶりに夜更かしをしよう。